任せて安心のウソ

任せて安心のウソ

難しいことはプロにお任せ」このフレーズを聞いてどう思いますか?

何かをしようと思った時に、少なからず安心感を与えてくれるこのフレーズを鵜のみにして、開けてビックリなんてことはありませんでしたか?

初心者には要注意

このフレーズ、特に初心者には安心感を与える効果があり、よく新規顧客獲得のために使われるコピーなんですが、投資・資産運用を行おうと考えている人にとっては要注意と捉えてもらいたいフレーズです。

人は、自分が知らない分野において積極的に向かおうとしない限り、それに対する知識を持とうという欲求を持ちにくい。この心理により、投資は難しいというイメージを持っている人は投資に対する知識を持とうとする欲求は生まれにくく、面倒くさく思っています。

しかし、今の経済事情を考えると「お金は増やしたい」という欲求は持っているわけですから、性質上、楽な方に流されやすい人に対してこのフレーズは心理的に響いてしまうみたいです。

このフレーズに乗っかって、全て任せても悪いことはないと思いますが、金融業界では、どういう側面が生まれてくるのか見ていきたいと思います。

投資は難しいものだというウソ

銀行の窓口には「難しいことはプロに任せて資産運用」こんなポスターが、掲示してあります。一言一句はあってないと思いますが、ポスターの持つ主旨は合ってると思います。

銀行全てがそうだとはいうわけではありませんが、ほかの証券会社も銀行も同じように資産運用や投資のことを「難しい」ものだというイメージを植え付けています。

  • 投資は専門的なものである。
  • 投資には技術が必要である。
  • 投資はプロに任せた方がよい。

 

これらは真っ赤なウソです。

投機やトレードには大衆の心理を読んで取引を行うという専門的な技術が必要になってきますが、資産を作ることを目的とした長期投資であれば、スキルはほとんど不要ですし、「難しいこと」など何もありません。

投資として戦略に必要なのは、長期的に、現実的なリターンを期待して待つということです。本当のリスクとは、「自分が何をやっているのかわかっていないことではないでしょうか?

難しいことはプロに任せて資産運用」を別の言い方をしてみると「将来のためにお金を増やしたいですか?でもやり方がわからないのであれば、専門家に任せて丸投げしましょう。」と言うことです。しかし、普通に考えてもこれは怖いことだと思いませんか?

  • 預けたお金がどのように運用されているのでしょうか?
  • いつ、いくらまで増えるのでしょうか?
  • そのメカニズムは何でしょうか?
  • そして何より、本当にお金は増えるのでしょうか?
  • それが成功するかどうかが、将来の人生を決めることになるにも関わらず、任せていることで「何をしているのか?」を知らなくて本当に安心できるのでしょうか?
  • 「難しいこと」だと言って片づけてよいのでしょうか?
  • 任せている専門家たちはいったい何をしているのでしょうか?

 

このように「任せて安心」と言われていても不安を煽る疑問はいくつも生まれてきます。それでは「任せて安心」の言葉で初心者が手を出しやすい投資商品の実態を見てみましょう。

「任せて安心」の投資商品が持つ深刻な欠点

「任せて安心」といわれている投資商品には、いくつかの深刻な欠点があります。

・ひとつ目の深刻な欠点、「高額な手数料」

例えば最近はやりの「ラップ口座」というもので見てみましょう。ラップ口座とは「資産運用を銀行や証券会社に一任することができる」というものです。

表現は悪いですが「難しいことはプロに任せておいて、自分はボーッとしててもお金を増やしてもらえる」ということで口座数は右肩上がりに増えているのですが、手数料は次のとおりです。

注:各料率は各ホームページ上で掲載されている最大値(税込み・年率)です(2019.04.30時点)

    • ※1計算値が○○~○○%の場合、中間値で計算しています
    • ※2計算対象資産額に応じて設定あり、5000万円以下の場合を記載しています。
    • ※3計算対象資産額に応じて設定あり、3000万円以下の場合を記載しています。
    • ※4前年の年間運用成果(超過収益分)に対して後払い
    • ※5計算対象資産額に応じて設定あり、2000万円以下、慎重型以外の場合を記載しています。

 

ラップ口座を運用・管理するために必要になる基本報酬が毎年かかります。加えて、信託報酬と呼ばれる手数料がかかります。年間にかかる手数料の合計は約3%になります。もし1000万円の資産をラップ口座で運用すると、毎年30万円の手数料がとられるということです。

10年運用すれば、単純計算で30万円の10倍、300万円。1000万円の運用を10年間任せたことでトータル300万円の手数料を支払うことになるわけです。これで将来の資産はどれくらい増えるのでしょうか?相当不利な戦いであることは目に見えています。

ラップ口座ではない普通の投資信託の場合、ラップ口座のような基本報酬はかかりません。その代わり、投資信託を購入するときの「販売手数料」というものがかかります。つまり、1000万円の資産運用を任せた瞬間に、「32万円が取られ、その後毎年15万円以上の信託報酬が取られ続ける」ということです。これは米国と比べても高すぎる水準です。

表:規模の大きい投資信託の日米比較(純資産額上位5商品)

引用:平成29年3月30日金融庁作成 説明資料P.8より

しかもこの表にあるように、なんと主要な投資信託の平均収益率は0.11%の「マイナス」なんです。これがまさに2つ目の深刻な欠点である、運用成績の悪さです。

2つ目の深刻な欠点、「運用成績の悪さ」

手数料が高くても儲かるならまだマシですが、そうでもありません。「投信で損失 個人の半数」という記事が2018年7月5日の日本経済新聞に衝撃的に掲載されました。内容は金融庁の調査レポート「各金融事業者が公表した顧客本位の業務運営に関する取り組み方針・KPIの傾向分析」をまとめた記事です。この記事には、金融業界の衝撃の実態が書かれていました。

  • 「投資信託を保有する個人投資家の半数近くが損失を抱えている」
  • 「平均の運用損益率がマイナスの金融機関もあった」(金融庁)
  • 「金融機関のトップは手数料収入の多寡は気にしても、顧客が儲けられているかは見向きもしてこなかった」(金融庁幹部)

 

株の値動きは上がるか下がるかの2つしかないはずですから、どちらに動くかはコインを投げて裏表で占っても半分の確率で当たるはずです。にもかかわらず、多額の手数料を取りつつ、「任せて安心」のはずのプロも、半分が損をするという情けない成績です。投資信託で成功することが「いかに難しいか」と証明するように、書店には「投資信託選びで間違えないため」の本や雑誌が平積みされています。

半分の投資信託が儲からないにもかかわらず、国内の投資信託の数は、2018年5月29日の日本経済新聞Web版の掲載では、2018年4月末の時点で6144本もあり、2019年2月12日JPX日本取引所グループホームページ掲載時点での日本の上場企業の数3549社よりも倍近く多いのです。しかも半分は負けている。これが投資信託の成績の実態です。

もう一つの深刻な欠点、「短期的な利益を得ようとする投機的思考」

そしてこの成績の悪さの原因にもなっているもう一つの深刻な欠点が、短期的な利益を得ようとする投機的思考です。

平成30年9月26日付けの金融庁のレポート「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」によると、今般、主要行等9行、地域銀行20行、主要証券7社における2017年度の投資信託の平均保有期間をみると、「主要行等で2.4年、地域銀行で2.5年、主要証券で2.4年となっており、ともに前年度よりも短期化した」とありました。

数年単位での短期的な値上がりを期待するものは、投資ではなく投機です。

投資は、買ったらほったらかし。Buy and Holdが原則なのですが、金融機関はそれを逆行するかのように、新しい投資信託をどんどん作り、既存の投資信託をどんどん「償還」つまり終了していきます。

さらに、2014年7月5日付けの日本経済新聞にはこうあります。

金融庁の年次報告書によると、

  • 「重点検証した投資信託の販売体制では、手数料稼ぎを優先した乗り換え販売が多いことが分かった。投信は乗り換えるたびに手数料を支払うため、運用効率が悪化して顧客の資産は元本割れしやすくなる。」
  • 「銀行の投信販売は伸びているものの、預かり資産は横ばい。同じ顧客が何度も乗り換えたため」
  • 投信の保有期間は短期化している
  • 「(金融機関は、)営業職員を評価する際、販売額を重視する銀行が多いと(金融庁が)指摘。顧客に投信の乗り換えを頻繁に勧める要因とみる」

平成28事務年度の「金融レポート」においては、毎月分配型投資信託について、我が国の投資信託の残高の過半を占める中、顧客ニーズを十分に確認しない販売が行われている可能性について指摘しています。

「難しいことはプロに任せよう」の実態は、残念ながらこういうことなのです。

金融機関の「任せて安心」のウソ。「投資は難しい」というウソに惑わされてはいけません。

マスコミが面白がって煽り続けてきた「投機」の情報や、これらの間違った情報によって、混乱させられ、将来を不安にさせられ、実際に資産を減らされてきたのです。正しく資産形成をする方法を、知らされてこなかったのです。

損させようとしてやっているわけではないでしょうが、「こっちの投信の方が上がるんじゃないか?」「こっちはもうすぐ下がりそうだから切り替えよう」ということを考えながら運用しているのだと思います。負けようと思って運用している人はいないと信じたいですが…、実態として、顧客から預かった大切な資産を減らし、負けているのです。

負けているという事実以上に、そういった投資商品を毎日2本のペースで新しく作り続け、そして言葉巧みに売り続けているという事実です。そして、顧客に損をさせたとしても、安定した手数料収入が入っているという事実です。

一体どうすればいい?

自らで投資・資産運用をするために見ている方だと思いますので、アドバイスはもらっても、運用を任せることは考えていないと思います。

短期で儲けたい・結果を出したいという方には当てはまりませんが、運用していく上で注意してもらうことは、「頻繁に値動きのチャートを見ない」上がった下がったのニュースをまともに見ない」ということでしょうか。

「投機」に関するニュースや日々の値動きはどうしても気になります。自制するためには、頻繁にチャートを見ないことがシンプルで効果的な方法というわけです。

投機は幻想、投資は現実です。

短期的な値動きは、投機家の「期待」と「不安」がもたらす幻想です。それでも日々、目にするニュースは「投機」に関するものがほとんどです。

「Buy,hold and don’t watch too closely」「買って、持っておいて、そして頻繁に見過ぎないように」と、世界一の投資家ウォーレン・バフェットは言っています。買ったら忘れて、たまに思い出すくらいが丁度いいのかもしれません。

日々の値動きに一喜一憂する「投機家」ではなく、安心と余裕のある投資家になりましょう。「短期的な上下はあるだろうけど、長期的には上がってるだろう」と、将来を楽観的にみれるようになるのではないでしょうか

 

商品先物取引とは

商品先物取引は正当な商取引の一環であることは間違いないのですが、一般的に「商品先物取引は危険」とすり込まれた認識があります。実際のところどうなのかも合わせて解説したいと思います。

商品先物取引とは

商品先物取引とは、一定の決まった月までに、「現物受け渡し」または「反対売買(転売・買戻し)」で決済することが約束されている農産物や工業材料等の商品を売買する取引です。

実際の商取引として商品の受渡しが行える点と差金決済ができるという特徴を持っており、商品の受渡し総代金でなく、小額の資金(証拠金)で取引することができ、値段の上昇局面だけでなく下落局面でも利益を追求できる取引であり、商品先物取引の役割として、大きく分けて3つの場を提供しています。

  1. 価格変動に対するリスクヘッジの場
  2. 公正な価格形成の場
  3. 資金運用手段の場

1.価格変動に対するリスクヘッジ

生活していくうえで必要な「商品」の値段は、いつも一定とは限りません。例えば、「ガソリン」の値段はガソリンスタンドごとに違いますし、毎日のように値段が変わっていることがあります。主食である「お米」にしても時期によって違っていたり、天候不順で凶作だったりすると値段が大きく変わってしまうことがあります。

これらの値段の変動は生産者や消費者だけでなく、製造業者や流通業者、販売業者など、全てに影響を与えてしまい、現物市場だけではこの価格変動の影響を全て受けることになります。

「生産者」において、作っている時は値段が高かったのに、出荷する時点で値段が下がっていると赤字になってしまいます。値段が高いうちに先物市場で売っておけば、仮に値下がりしても先物市場で値下がり分をカバーすることができます。

「製造業」においても、原材料費が値上がりしても製品の値段をすぐに上げることができません。できるだけ安い時に材料を仕入れておきたくても、仕入れにかかる費用が掛かってきます。先物市場で値段が安いときに買い注文を入れておけば、受渡しまでに総代金を用意すれば良いので、それまで小額の資金で済みます。さらに取り扱われている商品は取引所が定める品質の基準があるので品質も保証されています。

このように価格変動のリスクヘッジの場として商品先物市場が役に立つことになります。

2.公正な価格の形成

商品先物市場には現物を扱う「当業者」と呼ばれる企業や、資産運用のために参加する投資家など多数の参加者がいます。先物市場に出ている注文は誰でも見ることができ、値段がつく過程において透明性が高い市場です。そのため、あらゆるジャンルの人が多数参加することによって公正な価格が形成されることになります。

3.資金運用の手段

商品先物市場での値段の変動を予測して、さまざまな人々が資金運用の手段として利用しています。本来のリスクヘッジ機能として利用するよりも、資金運用として利用する割合の方が多いと言われています。
受渡しまでの期限内に反対売買によって取引を終了し、その時に発生した差額のみを清算する「差金決済」を利用して資金運用をするわけです。

運用イメージ

用語解説

商品先物取引を行うと普段聞きなれない用語が飛び交います。今回は説明に必要な最低限の用語だけを抜粋して解説したいと思います。

  • 限月(げんげつ):商品先物取引の取引期間には期限(最長1年)があり、取引の最終月(最終決済が決められた月)

※期限の最も近い限月を“期近”・“当限”・“一番限”、期限の最も遠い限月を“期先”・“先限”・“六番限”と呼んだりします。

  • 立会(たちあい):取引所での売買取引を行うこと。その取引の行われる時間を「立会時間」といいます。
  • 新甫(しんぽ):新たな生まれた限月。また、この限月において最初の取引で形成された値段。
  • 納会(のうかい):当月限の最終取引日の最終立会(取引)。
  • 呼値(よびね):市場で決定される価格の対象となる数量。

※例)金の取引単位は1㎏、呼値は1g単位。トウモロコシの取引単位は50t、呼値は1tとなっていて、呼値に対する取引単位が倍率になります。

  • 建玉(たてぎょく):買いまたは売りをした取引を行っている状態を表し、決済されていない状態(「現物受け渡し」や「反対売買」が行われていない状態)になっている契約。ポジションとも言いいます。

※買い建玉:買っている状態のことをあらわす。「ロング・ポジション」とも言います。

※売り建玉:売っている状態のことをあらわす。「ショート・ポジション」とも言います。

  • 約定(やくじょう):市場で売買が成立すること。その時の値段を「約定値段」といいます。
  • :取引する単位(ロット)商品先物取引のルーツである江戸時代の米取引で、1枚、2枚と数えていた米手形にて受け渡しが行われていたことに由来しています。
  • 証拠金:商品先物取引では受け渡しをしない場合、商品の総代金を必要としません。受け渡し決済または差金決済が済むまでの取引契約の担保として預け入れに必要な資金。

 

国内の商品取引所と上場商品

日本国内では東京商品取引所大阪堂島商品取引所の2個所で商品先物取引が行われており、取引所ごとに上場商品が決まっています。

商品先物取引の仕組み

証拠金による売買

商品先物取引では商品の受渡しをしない場合、商品の総代金は必要ありません。その代わり証拠金と呼ばれる総代金の3~8%程度の少額の資金を預けることで取引を開始できます。

たとえば、金が1g当たり4,000円の時に、1㎏の金の現物(金地金)を買う場合、400万円必要になりますが、先物取引で買う場合、取引で使用する資金は、102,000円です。(2019年4月25日現在の楽天証券での必要証拠金で定期的に変更されます)

もちろん10万円弱で金地金が手に入るわけではなく、実際に金地金を受取るためには取引期限までに総代金の400万円を用意しなければなりません。受け渡し決済もしくは差金決済が済むまでは、取引の担保として証拠金を預けておけばよいのです。

差金決済による取引であれば、実際にその商品を持っていなくても売りから取引を開始することができるため、値下がりの局面でも利益を追求できます。

証拠金の額は、国際標準となっているSPAN(スパン)に準拠して計算されます。取引業者は定期的にSPANによって算出された最低限必要な証拠金額から取引に必要な証拠金を見直しているため、証拠金の額は取引業者ごとに代わってきます。

取引単位

用語の解説でも紹介しましたが1枚、10枚というように枚数で取引を行い、一枚あたりの取引単位は商品ごとにそれぞれ取引概要が決められています。取引単位は売買する時の単位ですので倍率となり、損益の計算式は以下のようになります。

サーキットブレーカー制度

サーキットブレーカー制度とは、価格が一定以上の変動を起こした場合に、強制的に取引を止めるなど一定時間立会を中断し、価格幅を拡張して取引を再開する仕組みのことをいいます。東京商品取引所では2つのサーキットブレーカーが採用されています。

  1. ダイナミックサーキットブレーカー(DCB):急激な価格変動を防止するために設けられている制度
  2. スタティックサーキットブレイカー(SCB):一日で発注が可能な値幅制限で、SCBの上限・下限を超える注文はすべてキャンセルされます。SCB幅の上限・下限は前営業日の帳入値段を基準に決定されます。

※サーキットブレーカー発動中は立会開始前と同様に注文(新規・訂正・取消)は受付けられますが、約定はしません。

商品先物取引の取引手法

建玉のポジションの取り方でさまざまな手法をとることができます。

  • 片建取引:商品が上がると思えば買い建玉をし、下がると思えば売り建玉をする、典型的な投機的取引
  • アービトラージ:同一商品異市場の値段差が縮小するのを狙う取引
  • ストラドル:類似商品の値段の差・比率に着目する取引
  • 鞘取り:限月間の値段差に着目する取引

たとえば、順鞘(限月が近づくにつれ値段が下がっている状態)のとき期近(決済の早い限月)を買い、期先(決済の遅い限月)を売ることで、現物を引き取り、期先で売りつなぐことにより、差額を獲得することが可能になります。他にも複雑なポジションを構成することもできます。

商品先物取引のリスク

商品先物取引の場合、小額の資金で何倍もの取引ができるなどメリットはありますが、そのメリットはそのままリスクに裏返る可能性をはらんでいます。特に近年の出来高の減少は、買いたくても買えなかったり、売りたくても売れなかったりといった流動性リスクを起こしやすいと思われるので特に注視する点です。。

当然、商品先物取引も、元本及び利益が保証されているものでありません。証拠金を預託することにより少額の資金でその数倍~数十倍の金額の取引を行うことが可能な「ハイリスク・ハイリターン」のレバレッジ商品です。

このレバレッジ効果は、相場の変動により預託した証拠金を上回る損失が生じる可能性を含んでおり、ロスカット注文が設定できる取引でも、急激な価格変動により預託した証拠金を上回る損失が生じる恐れがあります。

また、相場の変動により追加で証拠金を預託する必要が生じる可能性もあるので、初めのうちはレバレッジを効かせないような取引手法などを行いながら徐々になれていくことが重要になります。


おまけ

「商品先物取引は危険」と認識させた一因

FXでも商品先物取引でも、預託した資金の限度一杯に売買する事(満玉)は危険であり、これは「必敗の法」、「丁半博打と同じ」とされています。手当たり次第に新規顧客を開拓し、無理な売買を勧め、金銭的破綻に追い込む「客殺し」と呼ばれる取引員が多数存在していたことで、「商品先物取引は危険」という認識が一般に広まってしまったようです。

当時、投資家とのトラブルが後を絶たず、相談や苦情が監督官庁に多数寄せられていたという背景もあり、経済産業省は、勧誘規制や商取会社の破綻への備えの強化策などを盛り込んだ、改正商品取引所法を2006年4月に施行して、投資家保護の姿勢を鮮明にしました。しかし、取引員の撤退や取組高・出来高の減少が相次いで起こり、市場全体は縮小傾向に向かいました。出来高が減少したことで、収益が悪化してしまい、商品取引所にとってシステム取引のコスト負担が取引所経営を圧迫している結果となっているようです。

現在、不招請勧誘の禁止といって「初期の投資額以上の損失が発生する可能性のない取引」以外は顧客側からの要請がない限り勧誘を禁止する規制が導入されているため、手当たり次第の新規顧客の勧誘ができなくなっています。

 

FX(外国為替証拠金取引)とは

FX(外国為替証拠金取引)とは

FXとは、「Foreign eXchange(外国為替)」の略が由来となっていて、海外ではForex (Foreign exchange) と呼ばれることが多いようで、日本では、投資商品として外国為替証拠金取引(がいこくかわせしょうこきんとりひき)のことを「FX」と称していることが多いので、こちらを解説していこうと思います。

FXの成り立ち

日本では、1998年に外国為替及び外国貿易法が改正されたことで、商品取引員や証券会社で取り扱いが始まり、この取引を専業で扱う外国為替証拠金取引業者も出来ました。さらにインターネット(ブロードバンド)の普及や、マスコミの伝えるニュースによって、市場は急速に拡大しました。しかし、その専業業者によってまざまな問題も上がってしまい、「金融商品取引法に基づく登録を受けた業者でなければ行うことが出来ない」といった背景が出来上がりました。

金融商品取引業の登録を受けた業者については、金融庁ホームページ内の「免許・許可・登録を受けている業者一覧」でご確認いただけます。

日本国内での初期の頃は、商品取引員が取扱いを始めたこともあってか、外国為替証拠金取引でも商品先物取引のような「限月制」の取り扱いもありましたが、現在では「限日制」(ロールオーバー制)が一般化しています。

FX(外国為替証拠金取引)とは

FX(外国為替証拠金取引)とは、本来、売買など取引に必要とする総代金ではなく、一部の代金(証拠金)で取引をすることができ、外国為替の値段(通貨レートまたは単にレートと呼ばれます)が買った時のレートと売った時のレートの差から得る差額を利益または損失として受け渡す取引ということになります。

FX(外国為替証拠金取引)の仕組み

取引単位

取引の単位は、単位表示が1通貨単位、取引単位は1枚(1ロット)と言います。取引単位あたりの通貨数量は取扱業者によりバラバラで、1枚=5万通貨とか、1ロット=1000通貨などとあり、最低取引単位は会社によって違うので取引をする場合には事前に確認するなど注意が必要です。

レバレッジ

一部代金で取引することを「レバレッジを効かす」とか「レバレッジが効いている」と言い、レバレッジとは、テコの原理のように一部の資金で何倍もの取引を行うことを言います。

FX(外国為替証拠金取引)では、取引する量に対する証拠金割合の上限は決められています。(国内登録業者での取引に限ります)個人投資家の場合、FXでのレバレッジは25倍が上限となり、10000円で250,000円分の取引までが可能ということです。(海外の業者ではレバレッジが25倍以上での取引が可能になっています)

たとえば米ドル(USD)1ドルに対して日本円(JPY)100円の場合、10000通貨と分を取引をするならば、総代金は日本円で 10,000通貨×100円=1,000,000円 となりますが、レバレッジを効かせる場合、10000通貨分1,000,000円(総代金)÷25(レバレッジ)=40,000円となり、40,000円で1,000,000円分の取引(売買)ができるということです。

FX(外国為替証拠金取引)の取引方法

売買による取引

FX(外国為替証拠金取引)では、通常の買ってから後に売るという取引と、逆に売ってから買い戻すという売りから入る取引も可能です。買いまたは売りから取引スタートしで反対売買による決済をするまでのことを「ポジションを持つ」といいます。

取引時間

取扱業者によってまちまちですが、指標となる為替市場は24時間動いているため、インターネットを介する取引では、月曜日の朝から土曜日の明け方までの毎日、ほぼ24時間取引が可能になっています。

スワップポイント

金利が高い通貨の買いポジション(ロング)の場合、ロールオーバーする(ポジションの保有期間を持ち越す)ことで金利差による受取スワップポイントが発生します。反対に売りポジションの場合には支払スワップポイントが発生します。

レバレッジを効かせていると、受取スワップポイントよりも値動きによる損益の方が大きいため、買いポジションにある通貨が下降してしまうと受取スワップポイントは食い潰されてしまうので、おまけ程度に考えた方が良いと思います。

反対にレバレッジを効かせずに、証拠金と同額の外貨を取引する(レバレッジ1倍)場合は、外貨預金に近い比較的低リスクな取引をすることも可能になります。

 

FX(外国為替証拠金取引)のリスク

FX(外国為替証拠金取引)の場合、小額の資金で何倍もの大きな取引ができるなどのメリットはそのままリスクにつながると考えるべきです。

  • ポジションを維持するため担保強化の意味も含め、追加で資金が必要になります。
  • 証拠金(保証金)に対して何倍もの取引することができるため、証拠金以上の損失を受けることもあります。

一部のリスクを上げましたが差し入れている資金だけで損失の範囲が収まらない可能性があるのが、すべての「証拠金でできる取引」での怖さです。レバレッジ効果が生むメリットはそのまま背中合わせのリスクにつながる可能性があることを肝に銘じていただきたいと思います。

実際、取引するにあたっては、外国為替相場に関する十分な知識や経験を必要と言っても良いでしょう。

外国為替市場は土日を除き、24時間、市場は動いているため、常に監視しておく必要がありますが、近年では、市場動向による為替レートの変化に対応して、人工知能 (AI) の判断に基づき、自動で売り買いしてくれる機能を持った、個人向けアプリケーションソフトウェアも開発されています。個人投資家でも場合によっては高い収益を上げることが可能になっていますが、最終的な責任は個人に降り掛かってきますのでご注意を!

 

おまけ

日本では投資商品として、差金決済取引CFDという「証拠金(保証金)を預託し、差金決済による売買を行なう取引」があり、FX外国為替証拠金取引)とは区分されていますが、実際のところは、取引の対象が株式などの値段(現物の株券などではなく、その株式などの値段ということです)でなく外国為替の値段(通貨レート)ということになるため、FX外国為替証拠金取引)は差金決済取引(CFD) の一種でもあります

投資信託とは

投資信託とは

投資信託とは、投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用のプロによって株式や債券、不動産などに投資・運用され、その運用成果がそれぞれの投資家の投資金額に応じて分配される仕組みの金融商品です。

投資信託は「ファンド」といわれることがよくあります。投資信託以外の金融商品でも「ファンド」と称していることがありますが、日本で投資信託が運用できるのは「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づき、主務官庁の監督を受け、投資運用業が行われているため、「ファンド」はそれより大きな括りで考えられることが多いようです。

投資信託は「集められた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託の商品ごとの運用方針に基づいて選定されています。運用成績は市場環境によって変化するため、運用の結果により、利益が得られることもあれば、損失が出ることもあり、運用成果によって生じた損益は、投資額に応じてそれぞれ投資家(受益者)に帰属することになります。

投資信託の仕組み

日本の投資信託は、投資家(受益者)、運用会社(委託者)、信託銀行(受託者)、販売会社から成り立つ「契約型」が主流です。それぞれ販売・運用・資産の保管などの業務を専門の機関が役割を分担することにより、厳正かつ効率的な運営が行われています。それぞれの運営にかかわる役割を見てみましょう

・運用会社(委託者)

投資信託を設定して、投資家から預かった資産を運用している会社です。運用の専門家が様々なデータを収集・分析し、ノウハウを駆使しながら信託銀行に対して運用の指示を出します。法律上では投資信託委託会社と言います。

・信託銀行(受託者)

投資家から預かった資産を保管・管理します。運用会社からの運用の指示に従って株式や債券などの売買や管理を行っています。

・販売会社(証券会社・銀行など)

文字通り投資家に対して投資信託を販売する窓口となり、換金および分配金、償還金の支払いなどは、証券会社や銀行などの販売会社を通じて行われます。

投資信託の値段

投資信託の値段のことを「基準価額(基準価格)」といい、投資家が投資信託を買い付けたり、換金する時の価格は、原則として基準価額で行われます。投資家から集められたお金は、信託財産として運用会社が証券・金融市場で運用しています。株式や債券などの値段は日々変動するので、これらを組み入れている投資信託の基準価額も毎日変動しています。

基準価額の計算式

※株式などの有価証券で上場されているものは終値、非上場のものは時価評価をもとに算出されています。

購入時や換金の基準価額はいつの値段?

投資信託の購入や換金の申し込みの締め切りは、申込日の証券取引所の立会終了時間(午後3時)までに締め切られます。既に知れ渡っている価額で注文できてしまうと、既存の受益者(投資家)の利益が害されてしまうことがあるため、申込当日の基準価額がわからない状態で申し込む「ブラインド方式」という方法で購入することとなります。

換金の際の価額は、換金申込日の締め切り(午後3時)後に算出される当日または翌営業日の基準価額に基づいて換金されます。(外国の株式や債券などに投資する投資信託は、翌営業日やよく翌営業日の基準価額が適用されます)

投資信託の配当金

投資信託の配当金は「収益分配金」といわれ、投資信託の決算が行われたときに支払われ「期中収益分配金」とも言います。運用によって得られた収益を保有している口数に応じて投資家に分配されます。

収益分配金は、投資信託の信託財産から支払われるため、分配金が支払われると、支払われた分だけ「純資産総額」が減り、「基準価額」は下がります。

投資信託の換金

投資信託は、原則としていつでも換金ができます。ただし、日々決算型(MRF)以外の投資信託の場合には、換金の申し込みをしてから実際に受取りができるまで最低4営業日かかるので注意が必要です。

投資信託によっては「クローズド期間」といって、一定期間解約ができないものもあります。

投資信託の換金方法

投資信託の換金方法は、「買取請求」と「解約請求」の2種類があります。

  • 買取請求・・・販売会社に買い取ってもらう方法
  • 解約請求・・・販売会社を通じて解約を請求する方法

投資信託を始める場合、いくら運用のプロが運用していても、運用によって生じた損益は投資額に応じて投資家に帰属します。投資信託の内容が説明された「交付目論見書」をよく読んで、運用対象や運用方法をしっかりと理解し、購入価格以外にかかってくる費用(手数料・税金など)も考慮して始めることをお勧めします。

 

債券投資とは

債券投資とは

債券は個人が投資できる金融商品のひとつで、株式や投資信託とは特徴が異なります。

債券って何?

債券は、資金を必要とする国や地方公共団体、企業等が、資金を調達するために投資家からお金を借りるときの「借用書」や「借用証書」のようなもので、その資金調達のためにお金を借りる側(発行体)が貸す側である投資家に対して発行するのが「債券」といいます。

債権にはさまざまな種類があり、償還までの期間や利率もさまざまです。満期(償還期限)まで保有すると、債券に記載されている額面金額で償還され、保有期間中は投資家には定期的に利子が支払われる利付債と、利息の支払いがない代わりに額面金額より低い価格で発行され、満期時に額面金額で償還される割引債があります。

 

債券投資のメリットとデメリット

債券の発行体は国内外の政府から民間企業まで多種多様で、一般的に、発行体の信用状況等に著しい変化がなければ償還期限まで定期的に利息を受け取ることができ、満期償還時には額面金額が戻ってきます(割引債は利息の受け取りがありません)。なお、償還期限前に売却して換金することも可能です。発行体の信用度が高ければ、比較的リスクが低い投資といえます。

ただし、債券は、金利の動向や政治・経済環境の変化に起因して価格が変動するので、途中売却した場合には利益が出る場合も損失が出る場合もあります。利息や償還金が外国の通貨で支払われる債券は、為替相場にも影響されます。

債券投資の主なメリット

銀行預金よりも比較的金利が高い

債券は銀行預金よりも比較的金利が高い傾向にあり、2019年4月11日時点で、三井住友銀行の普通預金金利は年率0.001%、定期預金金利は年率0.010%となっています。※三井住友銀行、円預金金利より

一方、個人向け国債は、最低でも年率0.05%の金利が保証されています。※財務省、個人向け国債より

また、企業が発行する社債は、個人向け国債よりも金利が高い傾向にあります。

定期的な利息による収入

債券を購入すると、その債券を保有している間、継続的に額面金額に対して決まった利息を受け取ることができます。また、売却により差益を得ることもできますが、売却による差損が発生し、投資元本を割り込むこともありますので、換金の必要性がなければ満期償還を待つ方が無難でしょう。

償還日に額面金額で償還

債券はあらかじめ満期が決まっており、満期まで保有すれば額面金額が償還されるので、計画が立てやすいのが特徴です。しばらく使う予定がないお金で債券を購入すれば、定期的に利息収入を得られます。

ただし、発行体の倒産・破綻や財政難などによっては、元本や利息の支払いを受け取れない場合があります

途中で売却可能

また、債券は償還日前でも売却による中途換金が可能なので、急にお金が必要になることがあった場合は、売却を検討できます。ただし債券の価格は、市場の状況により日々変動しますので、投資元本を割り込む恐れがあります。

株式投資と比べて手間があまりかからない

債券投資は、株式投資に比べて手間があまりかからないのもメリットです。

株式投資で売却益を得るには、常に株価を確認していつ売却するかを判断しなくてはなりません。株式の保有銘柄によっては年1回~2回配当金を受け取れますが、株価が下落した段階で売却すると配当金で得られる利益よりも損失が大きくなるリスクがあります。

債券も途中売却すると損が出る可能性はありますが、原則として満期まで保有して額面金額が償還されれば損が出ることはありません。保有している間は定期的に利息を受け取れますし、常に価格を気にする必要はありません。

 

債券投資の主なデメリット

途中売却時に損失が出る可能性がある

債券は満期まで保有すれば額面金額が償還されますが、途中売却をする場合は時価で取引されるため、損失を出す可能性があります。債券価格は市場金利の影響を受けるので、金利の動向によっては途中売却で利益が出ることもあります。必ず利益が出るわけではないため、債券投資をするときは満期まで保有することを検討したほうがよいでしょう。

発行体の財務状況が悪化し、元本や利子の支払不能等のリスクがある(発行者の信用力低下などにより換金できなくなる場合がある)

債券投資は、発行体が倒産した場合などの信用リスクがあります。債券に投資をすることは、発行体にお金を貸すのと同様です。もし発行体の財務状況が悪化すると、投資元本や利息の支払いが遅延したり、最悪の場合は債務不履行(デフォルト)が発生したりする可能性もあります。

売却時あるいは償還時の為替相場の状況によっては為替差損が生じる場合がある

債券には円建てだけでなく外貨建てもあるので、債券によっては為替変動リスクを受けることもあります。

たとえば、米国が発行する国債(米国債)は個人でも購入できますが、米ドル建てで発行されます。

購入したときよりも円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生してしまいます。

このように、外貨建て債券を購入した場合は、為替変動リスクを受けるので注意が必要です。

 

債券価格と市場金利の関係性を理解する

債券の価格と市場金利の関係

債券は償還期限まで持っていれば、額面金額が戻ってきます。しかし、その途中では、市場金利※の影響を受け、価格の変動が起こります。※市場金利:市場の需給で変動している金利。株式市場と同様に金利も日々取引がされています。

市場金利が上昇すると、保有中の債券より新規発行される債券のほうが利回りは高くなるため、債券が売られて(需要が下がり)債券価格が下落します。

一方で、市場金利が下落すると、新規発行される債券より金利が高い発行済の債券を買うほうが利回りは高くなるため、債券が買われて(需要が上がり)債券価格が上昇します。

このような仕組みで債券価格と金利は一方が上がれば、もう一方は下がるという関係で連動しています。

同じ金利変化に対して、償還期限までの期間が長いほど価格の変動が大きくなります。

 

投資できる債券の種類

債券にはさまざまな種類があります。国や地方公共団体が発行するものは公共債、事業会社が発行するものは民間債(社債)と区別されます。償還までの期間や利率もさまざまです。

国債

国債とは、国が発行する債券で、年間の発行計画に沿って発行されています。「利付国債」と「個人向け国債」の2種類があります。

地方債

地方債とは、都道府県や市町村などの地方公共団体(自治体)が発行する債券のことです。地方公共団体はさまざまな行政サービスを提供しており、歳入をまかなうことを目的に発行されます。

地方債は引受機関である証券会社や金融機関を通じて購入できます。

政府関係機関債(特別債)

政府関係機関債とは、独立行政法人などの政府関係機関や日本政策金融公庫などが特別な法律に基づいて発行する債券で、「政府保証債」や「財投機関債」などがあります。

社債

社債とは、民間企業が資金調達を目的に発行する債券で、株式の発行や金融機関の借り入れ以外の資金調達手段として、社債の発行が行われます。社債は発行体が一企業であるため、国債や地方債などに比べると信用リスクが高く、その分金利が高いのが特徴です。

外国債券

外国債券とは、発行市場や発行体、通貨が外国である債券のことです。国内債券に比べて外国債券は、比較的利回りが高いメリットがあります。しかし、外国債券は為替リスクがあり、円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生します。外国債券を購入するときは利回りだけでなく、為替相場を確認しておくことも大切です。

 

債券選びの基本的要素

  • 信用状況:発行体の経営、財務状況、格付などの健全性を判断する
  • 額面金額:償還時に戻ってくる金額です。例えば、額面金額100万円の債券は償還時に100万円が戻ってきます。最低の額面金額も債券の種類によって異なります。
  • 債券価格:債券の価格は市場の働きによって変動しています。額面金額を100として、それに対しいくらかという比率で表現します。この比率を円で呼ぶことが多く、例えば、99.85%を99円85銭と呼びます。
  • 利率・利回り:額面金額に対する利息の割合を「利率」といいます。一方、投資元本に対する収益の割合を「利回り」といいます。債券投資においては「利率」と「債券価格」の両方を考慮した「利回り」で投資判断をすることが大切です。

 

格付って何?

格付とは、格付機関が発行体の債務支払能力を評価し、信用力を示したものです。格付が低くなるほど債務不履行(借入金などをあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる)に陥る可能性が高くなります。

格付機関は基本的に、発行体から提出されたデータをもとに、経営の安全性や信用力などを分析・評価します。その評価を大まかな定義別にすると、Aクラスは債務履行の確実性が高い、Bクラスは注意が必要、Cクラスになると債務不履行になる可能性が高いと思ってもらえればよいでしょう。

債券の信用リスクに備えるには、投資する前に格付機関の格付けを確認するようにしましょう。

代表的な格付機関

  • R&I(格付投資情報センター)
  • JCR(日本格付研究所)
  • ムーディーズ・インベスターズ・サービス
  • S&P(S&Pグローバル・レーティング)

 

債券に投資する際、安全性・収益性・流動性等の考慮すべきポイントはありますが、これらすべてが優れた債券は存在しません。信用リスクや為替リスクがあるため、投資をするときは発行体や為替の動向に注意し、投資する目的に応じて、何を優先し、債券投資を行うかというのはとても重要です。

 

 

株式投資とは

株式投資とは

企業(株式会社)が、事業活動に必要な資金を調達するために発行されたものを「株式」といい、この株式を売買する行為を指します。株式投資では、投資によって得られるリターンの他、株式を保有することで発生する株主の権利もあり、投資の中では一番身近でポピュラーといえます。

株式を発行した会社にとって、株価の上昇による直接的な利益はありませんが、その会社の価値が高くなると、金融機関からの信用も高くなり、更なる融資を受けやすくなりますし、株主からも文句を言われないなど、間接的に大きなメリットが存在しています。

一体どのような仕組みで株価が上がり、利益を出すことができるのか、曖昧に理解している方も多いのではないでしょうか。株式投資はどのような特徴があるか、その内容をご紹介します。

株式投資で得られる3つの利益

株式投資の魅力は、投資で得られるリターンですが、株式投資で得られる利益には、売買時の価格差から得られる利益(値上がり益・値下がり益)、配当金、株主優待の大きく3つの利益があります。

売買時の価格差から得られる利益を積極的投資利益、配当金や株主優待の2つを安定的投資利益と呼ぶことができます。

・売却益(値上がり益・値下がり益)

株の売買は、「安い時に買って、高くなったら売る」が基本です。企業の株を安く購入し、株の価値(株価)が上がった時に高く売却することで利益を得ることができます。買値と売値の差額による利益を「キャピタルゲイン」といいます。(ここでは値下がり益についての説明は省略します)

・配当金

企業が事業活動の成果として得た利益を株主(その会社の株を持っている投資家)に分配するものです。この配当金のことを、「インカムゲイン」といいます。

配当金の金額は、業績等に基づいて決定されるため、企業によって異なります。 また、業績好調で配当金が増えることもあれば、反対に業績不調で減ってしまうこともあり、全く配当を行わない企業もあります。

なお、配当金を受け取るためには、その企業が定める決算期末(権利確定日)までに株式を購入し、株主として登録されることが条件になります。

・株主優待

企業からその持株数に応じて株主に贈られるお礼のようなものです。自社製品や優待券などを無償で還元することを「株主優待」といいます。「暮らしに役立ててもらおう」と誰もがもらって嬉しいギフトカードや食事券を株主優待にする企業もあります。この株主優待も「インカムゲイン」の一つと考える人もいます。

最近では株主優待を楽しみに株取引をはじめる人も増えています。全ての企業が株主優待を実施しているわけではありませんが、株主優待の回数や内容については各企業によって異なり、また年度ごとに変更する企業もあります。その注目度の高まりから、現在は約1,490社が株主優待を実施しています。(2018年12月6日時点)

ます。

なお、株主優待を受け取るためには、配当金と同様に、その企業が定める権利確定日までに、企業が定める株数を購入して株主として登録されることが条件になります。

 株式を取引(売買)するには

株式は企業が発行するものですが、その企業と直接売買できるわけではありません。一般的に、株式は証券取引所(株式市場)で取引されます。

日本には100万社以上の株式会社が存在しますが、証券取引所では財務状況や経営状態など一定の基準を満たした企業、約4,000社の株式が取引されています。この証券取引所で株式の売買が行えるようになることを「上場(じょうじょう)」といい、証券取引所に上場することは、その企業の信用を高めたり、資金調達をしやすくしたりと様々なメリットが得られるため、多くの企業が上場を目指しています。

このように、上場している企業の株式は証券取引所で取引されているのですが、証券取引所で直接購入することはできません。証券取引所では取引参加者資格を持つ金融商品取引業者(証券会社などの総称)しか取引できないため、金融商品取引業者が窓口となって、株式の取引が行われます。株式を買いたいと思ったら、証券会社など金融商品取引業者を通じて購入することになります。また、持っている株を売る時も同様に証券会社など金融商品取引業者を通じて売却することになります。

証券取引所と株式市場

現在、日本には4か所の※証券取引所があり、企業によって上場している市場が違います。上場する各取引所での審査を通過しなければいけませんが、最も上場するのが困難とされているのが第1部です。

メディアのニュースなどで、「1部上場(いちぶじょうじょう)」という言葉を見聞きすると思いますが、「○○市場の1部に上場した」という取引できる場所を示しています。「一部分だけ上場した」という意味ではありませんのであしからず。

各取引所にはベンチャー企業を支援するために設けられた新興市場(しんこうしじょう)があります。

上場する場合、基本的には1つの市場にだけ上場することが多いのですが、中には複数の市場に上場している企業もあります。

※大阪証券取引所の株式市場は2013年7月16日に東京証券取引所へ統合されました。

目的の明確化は重要

株式投資はキャピタルゲインインカムゲイン、どちらの利益も狙うことができる投資商品です。しかし、どちらの利益を狙っていくかによって、投資の方法が変わってきます。長期的に投資するのか、短期的に利益の獲得を目的とするのか。自分の投資資金を無駄にしないためにも、株式投資に限らず、他の投資もしっかりと投資目的を決めて自分に合ったものを探すことが重要です。

不動産投資とは

不動産投資とは

不動産投資とは、主にマンションやアパートなどの建物・土地(不動産)を※不動産取引によって収益を目指す投資のことです。※不動産を売却、交換または賃貸借のことを不動産取引と言います

一口に不動産投資と言っても、投資先は様々です。不動産投資にはどのような種類があるのか、主な投資手法の違いをご紹介します。

不動産投資の投資方法の移り変わり

・バブル時代の投資方法

購入した価格以上で物件が売却出来れば、その差額が利益となります。この差額で得られる利益のことを「キャピタルゲイン」といいます。

バブル時代、株価の上昇をはじめ、不動産価格が天井しらずに上がるように、持っていればどんどん価格が上がっていくような状態でした。

買って売れば儲かる。不動産投資家は、不動産を購入し転売を繰り返す(不動産転がしや土地転がしと言います)ことによって不動産価格の上昇に拍車がかかり、多くの利益を獲得できました。

バブルがはじけるまで物件の価格は上昇しましたが、バブル崩壊後は不動産価格が急落し、多くの方が多額の損失を被ってしまいました。ローンを組んで不動産を購入した人は、借金まみれなったという人もいたと思います。最終的に得をしたのは、バブル崩壊前に不動産を手放していた人だけです。

現在は、不動産価格が比較的安定して急激に上下することはなくなった為、キャピタルゲインを得る目的で不動産投資をする人はほとんどいなくなり、安定した方法で投資を行う方が増えています。

・現在の投資方法

現在行われている不動産投資の方法は、物件を購入し、賃貸事業を行うことで、賃料を得る方法が主流です。中長期に渡って安定的・継続的に収益を得ることが可能です。このことを「インカムゲイン」といい、必要な時には売却を行い、価格が上昇していればキャピタルゲインを得ることもあります。

バブル時代のように短期的に稼ぐようなことはできませんが、中長期間、安定的に収益が得られるので、安定志向が強い日本人にとって相性の良い投資方法と言えます。

不動産投資には、インカムゲインによる収益だけでなく、様々なメリットもあります。そのメリットの一つに「団体信用生命保険」があります。ローンを組んで不動産を購入した場合に入ることが可能ですが、加入していればローン契約者に万が一のことがあってもその後の支払いをする必要がなくなります。家族には収益不動産という資産を残すことができます。

不動産投資の種類

・不動産投資の投資先による分類

不動産投資は他の投資と比べ、多くの資金が必要と感じると思います。特に住宅を購入したことがある人なら、不動産の購入にかかる金額を予想してしまうため敷居が高いイメージを持たれるかも知れません。投資先によっては、少ない資金でも十分始めることができます。

それぞれの投資先にリンクを設定していますので、詳しく紹介したページへ飛べます。参考にしていただければと思います。

 REIT(J-REIT・不動産投資信託)

Real-Estate Investment Trust」を、各単語の先頭の字を取った略語で、リートと読み、「不動産投資信託」「証券化不動産投資」とも呼ばれます。

不動産投資は基本的に不動産そのものを購入しますが、REITの場合は投資信託の一種で、直接不動産を購入するものではありません。J-REITなどの不動産投資信託を通じて不動産会社の銘柄を購入し、その企業の運用実績によって、分配金を得たり、銘柄の価格上昇が狙えたりします。

購入価格は銘柄により差はありますが、現物の不動産を購入するより小額から行えるので、初心者にとって始めやすい投資の一つと言えます。

小口化不動産投資

不動産特定共同事業法に基づき、ビルなど金額の大きい不動産を、複数の投資家から出資を募り、対象不動産の売買・賃貸事業を行い、その収益が分配される方法です。

実際に物件を買うので、投資家は出資した金額に応じて共有持分権を持つことになります。例えると、ビル一棟の中に複数あるオフィスルームのうち一室を所有しているようなイメージです。

ただ、この手の投資情報は一般の人では入手しにくい背景があります。

マンション投資(区分所有)

本格的な不動産投資を始めるのであれば、ワンルームマンション購入の区分所有が初心者に取っての第一歩といえます。マンションやアパートの一室を購入し、賃貸経営を行うということです。

中古ワンルームマンションであれば300万円程度から購入できる物件もあり、初心者に限らず人気の高い投資先となっています。新築・中古、単身用・ファミリー用、都心・郊外の違いなど収益条件等の見極めが重要です。

戸建て住宅の賃貸経営

購入対象物件をマンションやアパートではなく、一戸建てを購入して賃貸経営を行う方法です。

マイホームとして一戸建を購入することを思い浮かべる方が多いかも知れませんが、場所によって需要があり、一度入居者が決まれば長期間借りてくれるという魅力があります。

駐車場経営

土地を購入してコインパーキングや月極駐車場などを運営します。

地主として既に土地を持っている人は始めやすいですが、駐車場に適した土地を探すのが年々難しくなってきています。

アパート経営・マンション投資(一棟)

アパートやマンションまるごと一棟を購入します。複数の部屋を一斉に貸しに出すことができ、賃貸収入も所有している部屋分得ることができる方法です。購入価格も高額になり、ほとんどの場合ローンが必要です。

ある程度安定した資力がある方でなければ、金融機関からの融資が下りにくく、ローンなしで始めるのは難しいかもしれません。満室による賃貸収益よりも空室率を考慮した資金繰りが重要です。

 

代表的な投資先で分類しましたが、方法や投資先は様々です。ただ、不動産業者も商売ですから、良い物件もあれば悪い物件も紹介されます。所有しようと思う物件は、しっかり見極めて購入しましょう。

複利という考え方

 

複利という考え方

投資・資産運用で結果はすぐに求めたい?

投資・資産運用を行うにあたりできるだけ早い結果を求めたいですか?

自分自身は早く求めてしまう方でした。

株式投資で運用しているときは大体3ヶ月から1年位の期間を目途にしたり、FXや商品先物取引などの証拠金取引の場合、マージンコールや追証のこともあり、エントリー後の値動きにも影響されますが、ポジションの保有期間は長くても1週間、FXについては、ほとんどデイトレードでロールオーバーすることは極わずかでした。

ビビリな性格もありますから「リスクを回避して早く利益を確定したい」とか。妙に物欲が出てしまい「この利益で〇〇を買ってしまおう」みたいな衝動がよぎってしまうことが無茶苦茶ありました。

投資を始めたバブル期には定期預金にするよりも、投資商品の運用を優先する方が、結果が早いので、当時は複利の効果というものを全く意識しませんでした。

しかしバブル期に預けられた定期預金が満期を迎えるころ、すでにバブル経済は終焉を迎えていて、超低金利の時代の真っ最中ですが、ほぼ倍になって満期償還され複利の効果を目の当たりにしました。

しかし、超低金利になってしまったことで、時間をかけても金利で増えなくなったこと、常に結果を早く求めるというスタンスが考えに染み込んでいたので、運用先を変えながら同じような運用を繰り返していました。

複利的な運用を考える

運用先ごとに複利運用を考えたことがありませんか?

運用先にはマイブームがあって、自分の中のFX運用全盛期であれば、「一日15Pips取りながら複利的な運用したら」と計画したこともありました。

「後悔、先に立たず」とはよく言ったもので、複利の効果はわかっていても別の欲が勝ってしまい利益が貯まってくると「また始めれば」と、利益を浪費した後悔は今でも突き刺さっています。

運用する人それぞれに考え方があり、複利的な運用を考えることもあるかもしれません。

複利的な運用によって資産は限りなく増やすことができる可能性はありますが、運用する投資商品によって、反対に損失も大きくなる可能性があります。

ネット取引がないころ、証券会社などの営業マン達はお客さんが離れていかないように、複利的な運用方法を提示して、取引量が増えることで売買手数料を稼ぎました。

最終的に取引量が増えたことで証券会社などの営業マン達は手数料収益を増やしましたが、お客さんの方は取引量の拡大により損失も拡大していまい、失敗した人がたくさんいました。

現在ではインターネットの発展から手数料が固定化や無料化していますが、複利的な運用をするためには取引量増やすことは避けられません。

投資・資産運用を始めると結果が出るスピードは求めてしまいがちです。

ウォーレン・バフェットのインタビュー記事の言葉で「時間をかけてお金持ちになろうという人は誰もいないでしょう」とありました。

目先の利益にばかりに視線を向けていた自分にとっても納得の言葉でした。

だからといって定期預金や個人向け国債などのようにローリスクの投資商品で満期償還を待つことも一つの方法ですが、時間がかかるだけでリターンは期待できません。

 

※確定された運用結果ではなくシュミレーション上のものです。

 

複利運用の効果はすぐに感じることはできませんが、長期を見通すことで誰しも感じることができると思います。リスクを回避しながらリターンがある程度見込めるものを複利運用することが資産運用の成功に導いてくれる方法のひとつかもしれません。

 

おまけ:72の法則

金利が0.1%の時、100万円の預金が倍になるためには何年位必要でしょうか?

答えは、およそ720年ほどかかります。これは72を金利(%)で割ることで近似値を求めることができるというもので、これを「72の法則」といいます。※毎年複利運用した場合

例1:金利が7.5%の場合

72 ÷ 7.5(%) = 9.6(年) 約10年で元金が倍になります。

例2:金利が3%の場合

72 ÷ 3(%) = 24(年) 約24年で元金が倍になります。

資産運用の元本割れ対策「優先劣後システム」とは

資産運用の元本割れ対策「優先劣後システム」とは

資産運用には利益を追求する上で元本割れによって損失を被るリスクは避けられません。元本保証の投資商品もあるのですが、残念ながらそれらの投資商品は利益率が低く、あっても無いような利益率といえます。

着実に投資で利益を上げながら資産を増やしていくには工夫が必要で、元本割れを防ぐには多角的な視点も必要です。

その一つとして「優先劣後システム」を参考にご紹介します。

優先劣後システムとは

資産運用において一部の投資商品には、利益を受け取る権利の優劣を定め、優先的に確保される部分の「優先受益権」と、それ以外の「劣後受益権」に分けられ、この分類が「優先劣後」の構造になります。

「優先受益権」を持つ投資家と「劣後受益権」を持つ投資家が、同じ投資商品を保有していた時、この権利によって投資家を分類して、利益およびリスクの配分を行います。これが「優先劣後システム」の基本と考えてください。

優先劣後の構造はすべての投資商品に適用されてはいません。「優先受益権」を利用したいのであれば、「優先劣後システム」を採択している投資商品を選択すると良いでしょう。

「優先受益権」を持つ投資家に対して「優先的に利益を配当」し、「劣後受益権」を持つ投資家に「リスクを先んじて配当」する「優先劣後システム」の構造は、一見すると「優先受益権」を優遇するものに思われがちですが、利益率の比重を抑えることですべての投資家への配慮がなされています。

優先受益権の方が有利?

「優先受益権」を持っていれば優先的に利益が配当されると言っても、「優先劣後システム」を適用した投資商品が投資家にとって安全な商品とは限りません。

なぜなら、「優先受益権」を持つ投資家に対してはリターンが低く抑えられており、ローリスク・ローリターンといえるもので、稼ぐための投資商品としてではなく、元本を減らさないための投資商品としての運用が最適と思われます。

さらに、「劣後受益権」を持つ投資家のリスクについて、「優先受益権」を持つ投資家に、無関係とはいえません。その投資商品に対して発生しているマイナスが、「劣後受益権」を持つ投資家によってカバーされているマイナスを超えてしまった時には、超えてしまった分のマイナスを「優先受益権」を持つ投資家側で負担することになるからです。

ローリスク・ローリターンであっても元本割れのリスクはゼロではないということを認識しておく必要があります。

しかし、優先劣後の構造によって、「優先受益権」を持つ投資家には、損益計上からリスクが分配されるまでの時間稼ぎができるので、リスクが分配される前に撤退するチャンスを得られる可能性もあります。元本を確保したいのか、少しでも早く少しでも多く利益を得たいのか、資産運用の目的と資金力を考えながら、投資商品を選択すれば良いと思います。

リスク・リターンによる投資の分類


リスク・リターンによる投資の分類

投資には資金を失うかもしれないというリスクがつきものです。だからこそ、リスクに見合うだけのリターンが返ってくるというものです。

投資・資産運用を行うにあたり、リスクをいかに許容もしくは軽減できるかが選択のポイントのひとつです。 投資におけるリスク・リターンの程度による特徴をお伝えします。

ローリスク・ローリターン

投資した元の資金(元本)が減少する(割れる)可能性が低い、または可能性がない安全性の高い投資商品になりますが、その投資から得られる収益も少ないのがローリスク・ローリターンの投資です。

ローリスク・ローリターンに分類される投資は、定期預金などの預貯金や、国債、地方債などの債券になります。

これに分類される投資は、元本割れを起こさないと考えられていますが、途中解約した場合には解約手数料などが発生するため、この場合は、ローリスクでも元本割れを引き起こす可能性があることに注意が必要です。

大きく資金を失うことはありませんが、獲得できるリターンは、本当に微々たるものです。

ローリスク・ローリターンの投資では、時間の概念が重要な要素の一つになります。元々得られる金利や利回りがかなり低いため、それなりに資金を殖やそうと考えるのであれば、元手に対するリターンが少ない分、投資資金の割合と長期スパンで考えていかなければなりません。

ハイリスク・ハイリターン

投資と聞いて一般的にイメージされるのかこの分類と言えるでしょう。株式投資、FX、商品先物取引などがあります。

リスクが非常に高く、元本がなくなる可能性があります。また、レバレッジを効かせると自己資金以上の金額の取引を行うことができるため、最悪の場合、元本以上の損失を招くことがあります。

これらの投資は「ゼロ・サム・ゲーム」ともいわれ、利益の分に対する損失が表裏一体化しています。しかし、損をしても得をしても取引手数料というものが必ず発生するので、「マイナス・サム・ゲーム」と、皮肉を込めていわれることがあります。

これらの商品が、今ではインターネット上で取引を完結させることができるようになり、非常に便利になりました。しかし、これが最も怖いことだと思います。パソコンの画面上に表示される数字を確認する作業となり、現実の世界と区別がつかなくなることがあるからです。

勝っている状態の時は良いのですが、損失の大きさの現実を受け入れがたく、人生まで狂わせてしまう可能性も秘めています。

何倍のレバレッジで取引するかは個人の自由なのですが、損失が出たときのリスクを十分に理解してから取り組む必要があります。 初心者の間はレバレッジを1倍以下にして取引することを推奨します。

ミドルリスク・ミドルリターン

最後は、ハイとローの中間、ミドルリスク・ミドルリターンの投資です。

投資という観点からすると、それなりのリスクはありますが、それなりのリターンが返ってくるというバランスの良い投資と言えます。

もちろん元本割れの可能性はありますが、急激な価値の低下は起こりにくく、比較的安定した運用を行うことができます。

この特徴を持つ代表的な投資としては、不動産投資、バランス型の投資信託があげられます。

バブル崩壊以前の不動産投資と言えば売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資方法が主流でしたが、現在では賃貸収入(インカムゲイン)で利益を獲得する方法に切り替わって、中長期的に継続したリターンがあるスタイルになっています。

不動産投資と言うと物件を購入するための資金力が必要というイメージがあると思います。

物件購入のためにローンを組むことは、自己資金以上のお金を借りて投資することになるので、レバレッジをかけていることと同じになりますが、ローンの返済費用を賃貸収入で賄うことができ、返済が終了した後は対象の不動産が自分の資産として残ります。

もちろん、手数料や空室リスクなど様々なデメリットはありますが、自分の努力次第で低下させることが可能です。

そのためには、月々や年間での収支計画は非常に重要です。しっかりと計画を立てて投資をすれば着実に利益を追求できる投資と言えるでしょう。

他にもREITや小規模不動産特定共同事業などを利用する方法もあるので、別途、ご紹介します。