債券投資とは

債券投資とは

債券は個人が投資できる金融商品のひとつで、株式や投資信託とは特徴が異なります。

債券って何?

債券は、資金を必要とする国や地方公共団体、企業等が、資金を調達するために投資家からお金を借りるときの「借用書」や「借用証書」のようなもので、その資金調達のためにお金を借りる側(発行体)が貸す側である投資家に対して発行するのが「債券」といいます。

債権にはさまざまな種類があり、償還までの期間や利率もさまざまです。満期(償還期限)まで保有すると、債券に記載されている額面金額で償還され、保有期間中は投資家には定期的に利子が支払われる利付債と、利息の支払いがない代わりに額面金額より低い価格で発行され、満期時に額面金額で償還される割引債があります。

 

債券投資のメリットとデメリット

債券の発行体は国内外の政府から民間企業まで多種多様で、一般的に、発行体の信用状況等に著しい変化がなければ償還期限まで定期的に利息を受け取ることができ、満期償還時には額面金額が戻ってきます(割引債は利息の受け取りがありません)。なお、償還期限前に売却して換金することも可能です。発行体の信用度が高ければ、比較的リスクが低い投資といえます。

ただし、債券は、金利の動向や政治・経済環境の変化に起因して価格が変動するので、途中売却した場合には利益が出る場合も損失が出る場合もあります。利息や償還金が外国の通貨で支払われる債券は、為替相場にも影響されます。

債券投資の主なメリット

銀行預金よりも比較的金利が高い

債券は銀行預金よりも比較的金利が高い傾向にあり、2019年4月11日時点で、三井住友銀行の普通預金金利は年率0.001%、定期預金金利は年率0.010%となっています。※三井住友銀行、円預金金利より

一方、個人向け国債は、最低でも年率0.05%の金利が保証されています。※財務省、個人向け国債より

また、企業が発行する社債は、個人向け国債よりも金利が高い傾向にあります。

定期的な利息による収入

債券を購入すると、その債券を保有している間、継続的に額面金額に対して決まった利息を受け取ることができます。また、売却により差益を得ることもできますが、売却による差損が発生し、投資元本を割り込むこともありますので、換金の必要性がなければ満期償還を待つ方が無難でしょう。

償還日に額面金額で償還

債券はあらかじめ満期が決まっており、満期まで保有すれば額面金額が償還されるので、計画が立てやすいのが特徴です。しばらく使う予定がないお金で債券を購入すれば、定期的に利息収入を得られます。

ただし、発行体の倒産・破綻や財政難などによっては、元本や利息の支払いを受け取れない場合があります

途中で売却可能

また、債券は償還日前でも売却による中途換金が可能なので、急にお金が必要になることがあった場合は、売却を検討できます。ただし債券の価格は、市場の状況により日々変動しますので、投資元本を割り込む恐れがあります。

株式投資と比べて手間があまりかからない

債券投資は、株式投資に比べて手間があまりかからないのもメリットです。

株式投資で売却益を得るには、常に株価を確認していつ売却するかを判断しなくてはなりません。株式の保有銘柄によっては年1回~2回配当金を受け取れますが、株価が下落した段階で売却すると配当金で得られる利益よりも損失が大きくなるリスクがあります。

債券も途中売却すると損が出る可能性はありますが、原則として満期まで保有して額面金額が償還されれば損が出ることはありません。保有している間は定期的に利息を受け取れますし、常に価格を気にする必要はありません。

 

債券投資の主なデメリット

途中売却時に損失が出る可能性がある

債券は満期まで保有すれば額面金額が償還されますが、途中売却をする場合は時価で取引されるため、損失を出す可能性があります。債券価格は市場金利の影響を受けるので、金利の動向によっては途中売却で利益が出ることもあります。必ず利益が出るわけではないため、債券投資をするときは満期まで保有することを検討したほうがよいでしょう。

発行体の財務状況が悪化し、元本や利子の支払不能等のリスクがある(発行者の信用力低下などにより換金できなくなる場合がある)

債券投資は、発行体が倒産した場合などの信用リスクがあります。債券に投資をすることは、発行体にお金を貸すのと同様です。もし発行体の財務状況が悪化すると、投資元本や利息の支払いが遅延したり、最悪の場合は債務不履行(デフォルト)が発生したりする可能性もあります。

売却時あるいは償還時の為替相場の状況によっては為替差損が生じる場合がある

債券には円建てだけでなく外貨建てもあるので、債券によっては為替変動リスクを受けることもあります。

たとえば、米国が発行する国債(米国債)は個人でも購入できますが、米ドル建てで発行されます。

購入したときよりも円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生してしまいます。

このように、外貨建て債券を購入した場合は、為替変動リスクを受けるので注意が必要です。

 

債券価格と市場金利の関係性を理解する

債券の価格と市場金利の関係

債券は償還期限まで持っていれば、額面金額が戻ってきます。しかし、その途中では、市場金利※の影響を受け、価格の変動が起こります。※市場金利:市場の需給で変動している金利。株式市場と同様に金利も日々取引がされています。

市場金利が上昇すると、保有中の債券より新規発行される債券のほうが利回りは高くなるため、債券が売られて(需要が下がり)債券価格が下落します。

一方で、市場金利が下落すると、新規発行される債券より金利が高い発行済の債券を買うほうが利回りは高くなるため、債券が買われて(需要が上がり)債券価格が上昇します。

このような仕組みで債券価格と金利は一方が上がれば、もう一方は下がるという関係で連動しています。

同じ金利変化に対して、償還期限までの期間が長いほど価格の変動が大きくなります。

 

投資できる債券の種類

債券にはさまざまな種類があります。国や地方公共団体が発行するものは公共債、事業会社が発行するものは民間債(社債)と区別されます。償還までの期間や利率もさまざまです。

国債

国債とは、国が発行する債券で、年間の発行計画に沿って発行されています。「利付国債」と「個人向け国債」の2種類があります。

地方債

地方債とは、都道府県や市町村などの地方公共団体(自治体)が発行する債券のことです。地方公共団体はさまざまな行政サービスを提供しており、歳入をまかなうことを目的に発行されます。

地方債は引受機関である証券会社や金融機関を通じて購入できます。

政府関係機関債(特別債)

政府関係機関債とは、独立行政法人などの政府関係機関や日本政策金融公庫などが特別な法律に基づいて発行する債券で、「政府保証債」や「財投機関債」などがあります。

社債

社債とは、民間企業が資金調達を目的に発行する債券で、株式の発行や金融機関の借り入れ以外の資金調達手段として、社債の発行が行われます。社債は発行体が一企業であるため、国債や地方債などに比べると信用リスクが高く、その分金利が高いのが特徴です。

外国債券

外国債券とは、発行市場や発行体、通貨が外国である債券のことです。国内債券に比べて外国債券は、比較的利回りが高いメリットがあります。しかし、外国債券は為替リスクがあり、円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生します。外国債券を購入するときは利回りだけでなく、為替相場を確認しておくことも大切です。

 

債券選びの基本的要素

  • 信用状況:発行体の経営、財務状況、格付などの健全性を判断する
  • 額面金額:償還時に戻ってくる金額です。例えば、額面金額100万円の債券は償還時に100万円が戻ってきます。最低の額面金額も債券の種類によって異なります。
  • 債券価格:債券の価格は市場の働きによって変動しています。額面金額を100として、それに対しいくらかという比率で表現します。この比率を円で呼ぶことが多く、例えば、99.85%を99円85銭と呼びます。
  • 利率・利回り:額面金額に対する利息の割合を「利率」といいます。一方、投資元本に対する収益の割合を「利回り」といいます。債券投資においては「利率」と「債券価格」の両方を考慮した「利回り」で投資判断をすることが大切です。

 

格付って何?

格付とは、格付機関が発行体の債務支払能力を評価し、信用力を示したものです。格付が低くなるほど債務不履行(借入金などをあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる)に陥る可能性が高くなります。

格付機関は基本的に、発行体から提出されたデータをもとに、経営の安全性や信用力などを分析・評価します。その評価を大まかな定義別にすると、Aクラスは債務履行の確実性が高い、Bクラスは注意が必要、Cクラスになると債務不履行になる可能性が高いと思ってもらえればよいでしょう。

債券の信用リスクに備えるには、投資する前に格付機関の格付けを確認するようにしましょう。

代表的な格付機関

  • R&I(格付投資情報センター)
  • JCR(日本格付研究所)
  • ムーディーズ・インベスターズ・サービス
  • S&P(S&Pグローバル・レーティング)

 

債券に投資する際、安全性・収益性・流動性等の考慮すべきポイントはありますが、これらすべてが優れた債券は存在しません。信用リスクや為替リスクがあるため、投資をするときは発行体や為替の動向に注意し、投資する目的に応じて、何を優先し、債券投資を行うかというのはとても重要です。