REITの持つリスクは?
REITも預金や債券のように元本が保証されているわけではありません。株式市場全体や不動産市況の影響を受けるため、個別の業績に変動がなくても株式と同様に市場の反応で価格が下落する場合もあります。また、投資法人によっても投資口価格の変動要因は異なり、各決算時の分配の権利確定、投資口の追加発行、資産の取得及び売却、決算発表、スポンサーの交代、合併等によっても価格が変動する傾向があり、様々なリスクがあります。どんなリスクがあるか見てみましょう
1.価格変動リスク
REITは証券市場に上場しているため、投資口価格が毎日変動しています。買った時より価格が下がれば損失が発生します。これが価格変動リスクです。価格を変動させる要因には次のようなものがあります。
- 不動産価格 … 不動産市場や地価の状況によってREITが保有している評価額が変われば、REITの価格にも影響します。
- 需給関係 … REITは証券取引所で取引されているため、買いたい人が売りたい人より多ければ価格は上がり、買いたい人が売りたい人より少ないと価格は下がります。
- 分配金 … REITの分配金の原資である賃料は、不動産市場の動向や経済環境など様々な外部要因の影響を受けています。REITの分配金が増えれば、そのREITの魅力が高まり価格が上がります。分配金が減ってしまうとその逆になります。
※資産運用会社が予想する分配金額は、一定の条件における予想であり、将来の受取額を保証するものではありません。
2.金利変動リスク
REITは投資家から集めて資金のほかに、金融機関から借りた資金(借入金)も使って不動産を取得します。この借入金(有利子負債)が多くなると、金利が上昇したときに利子の負担が増加し重くなるため、収益の減少要因となり、分配金が減ることがあります。また市中金利上昇により、他の金融商品の利回りが上がれば、相対的にREITの分配金利回りの魅力が薄れてしまい、REITの価格が下落する可能性があります。
3.流動性リスク
REITは証券取引所で取引されていて、売り手と買い手の両方がいることによって売買が成立します。売り手・買い手のどちらかが少ない(あるいはいない)という状況になったり、双方の提示する価格に折り合いがつかなかったりして売買が成立せず、買いたくても買えない、売りたくても売れないということが起こる可能性があります。
4.収益変動リスク
REITの投資家は決算期毎に分配金を受け取る権利がありますが、分配金は確定されたものではありません。地震など自然災害による建物の毀損、賃料減額・未納、テナントの退去、物件の売却損など、資産運用会社の能力や経済情勢によっても収益が増減するため、分配金が減少する可能性があります。また増資を行うことにより利益が増加しても1口当たり分配金が減少する場合もあります。
5.信用リスク
不動産投資法人の資産運用会社には、不動産会社や商社、金融機関などがスポンサーとして出資しており、スポンサーからの不動産物件購入や、情報やノウハウを提供してもらうなどさまざまなバックアップを受けています。そのため、スポンサーの経営状況が悪化したり信用力が下がったりするとREIT自体の信用力が下がってしまいREITの価格が下落する可能性があります。
6.運用体制に関するリスク
REITの運用を行う資産運用会社には、スポンサーからの人員提供や不動産の開発、管理等、設立後もスポンサーがREITの運営に深く関わっているため、スポンサーとの利益相反が生まれやすい仕組みといえます。利益相反によるリスクを回避する意向を示すため、投資法人では外部者を含めコンプライアンス部門の設置や徹底した情報開示を行っています。
7.投資法人の倒産及び上場廃止リスク
REITも一般の企業と同様に倒産リスクがあります。金融機関の融資環境の変化や投資法人の収益低下に伴うキャッシュフロー悪化から、資金調達が出来ず倒産に陥るリスクがあります。ただし、破綻した場合でも、不動産の価値はゼロにはなりません。理論上は精算時に不動産を売却すれば、投資資金が戻る可能性があります。また証券取引所の上場廃止基準に該当した場合、上場廃止となるリスクがあります。
8.投信法及び不動産に関わる法、税制度等の変更に関するリスク
REITに関わる様々な法制度の変更により規制が新たに掛かる場合、資産及び投資元本の価値が変動する可能性があります。
以上で、多少重複している点も含めREITが持つリスクについてご紹介しました。REITを購入するときも、どのようなリスクがあり、どのような時に生じるのかを知っておく必要がありますので、その際の参考にでもしていただけたらと思います。
また、REITは銘柄ごとに組み入れている不動産の種類や数が違うので、それぞれのREITの特徴を調べて、納得したうえで購入することが重要になります。