不動産投資で必要なコスト
不動産投資には不動産事業を経営するという側面があり、経営をしていく上で必ず諸経費が発生します。
不動産投資は、特有の経費として、物件購入費以外に物件取得時に必要な経費、保有している間かかる経費、売却時にかかってくる経費等コストが別途必要になります。
これらのコストを計算に入れておかないと、表面利回りで思い描いた収入と実際の収入とにギャップに、後悔が生まれる可能性があります。
実際の収入となる実質利回りを計算する上で重要な不動産投資におけるコストについて説明していきます。
不動産投資には利回りが二つ存在する
不動産投資の指標とされる利回りには、大別して2つの利回りが存在し、不動産価格に対する年間の収入割合を単純に計算した「表面利回り」と、不動産購入時と不動産保有時にかかってくるコストを勘案した「実質利回り」があります。
※不動産購入時のコスト:建物に対する消費税、不動産仲介手数料など
※不動産保有時のコスト:固定資産税、都市計画税など
不動産投資をネットで検索するとAI等により、不動産投資用物件の広告が表示されますが、その時には「表面利回り」しか掲載されていません。クリックして物件の詳細を見ると満室時の家賃収入など記載はあります。
たとえば、不動産価格が3,000万円、「表面利回り」7%と掲載されている物件では
それから、不動産購入時のコストが150万円、不動産保有時のコストが年間60万円かかると想定した場合、「実質利回り」を計算すると、
というように、表面利回りと実質利回りとではコストを勘案する分、実質利回りの方が低くなります。それでは不動産投資におけるコストにはどのようなものがあるでしょうか。
不動産購入時にはコストは五つ
不動産を購入する場合、不動産の物件本体価格のほかに多くのコストが発生します。
- 建物に対する消費税
- 不動産仲介手数料
- 契約書に貼付する印紙税
- 登記する際の登録免許税、司法書士手数料
- 不動産取得税
以上の5つのコストを含めた投資総額を想定したうえで、対象物件の利回りを検証しましょう。
注意:物件によって入居者を募集する前に修繕を行う必要があればその修繕コストも必要となります。
不動産保有時のコスト
実質利回りを計算する際に勘案する不動産保有時に毎年経常的にどのようなコストがかかってくるかというと、
- 固定資産税・都市計画税
- 建物管理の委託費用
- 建物小修繕費用
- 賃貸管理の委託費用
- 共用部分の水道光熱費
- 火災保険(長期一括払いの保険もあります)
などがあり、入居者が入れ替わるごとに、リフォームの費用や状況によっては設備の交換費用などが発生します。
また、収益用不動産では、10年単位で建物の大規模修繕工事が必要となり、大規模修繕工事のコストで、修繕とみなされる工事については、その年度の工事費用として見られますが、資産価値向上にかかわる内容の工事代は資本的支出とみなされ、その年度のコストとして認められないことにちゅういしてください。(毎年の減価償却として費用は計上できます)
不動産は所有しているだけでも税金はかかります
不動産保有時のコストにもあがっている固定資産税・都市計画税は、利用している、してない、収益発生している、していないにかかわらず、保有しているすべての不動産に毎年発生します。
固定資産税の課税標準は、原則、固定資産税評価額ですが、ほとんどの土地が負担調整措置として一定額減額されています。
都市計画税は都市計画で定められた市街化区域内にある土地・家屋に対して課税されます。
※記載している税率は標準税率ですが、不動産の所在する市町村で異なる場合があります。
固定資産税・都市計画税は、一定の要件を満たした居住用の家屋や居住用の家屋が建っていつ土地は減額されるというメリットはあります。
不動産を機能させるにはキチンと管理
不動産投資は運用中、主に2つの管理が必要になります。
- 建物管理:主に建物を維持するために必要となる管理
- 賃貸管理:主に賃料の集金、滞納した場合の督促、入退去の手続きなど
建物管理
エントランスや廊下、階段、ごみ置き場など共用部分の清掃やエレベーターの保守点検、防犯設備の維持管理、それらに伴う水道光熱費など建物の大きさに関係なく建物の維持管理には費用がかかり、その管理コストは家主が負担しなければなりません。
優良な入居者を確保するためには、ある程度のコストをかけてでも良質な管理は必要不可欠なことですし、どれくらいのレベルで管理するか、どこまでを専門業者に委託するかによってコストは変わります。
賃貸管理
賃料の集金を個人で行うにも別の部分で負担が大きくなります。そのため、賃料の集金代行を不動産管理会社に委託すれば、その分のコストが発生します。
仕事をしながら管理を行うことは個人では難しいこともあり、委託することとなりますが、実質的な利回りにも影響する部分なので、管理コストについては委託する業者との交渉も必要になります。
忘れてはならないコスト
個人が不動産から得る家賃など不動産所得には税金か課せられます。不動産所得の計算は、
不動産所得=総収入金額―必要経費となります。
※必要経費:固定資産税・都市計画税、管理費、入居者募集費用、減価償却費、借入金の金利など
不動産所得は超過累進課税といって、不動産所得が多いほど高い税率が適応され、しかも総合課税の対象となっているので、他に給与所得などがあった場合には合算して最終的な税率により税金が算出されます。
所得税と住民税は合わせると15%~最高50%の税率となるので、所得が高くなれば税負担も多くなってきます。
不動産投資には保有運用中にも様々なコストが発生します。不動産投資で重要なことはキャッシュフローです。いくら表面利回りが良くても現金が残らなければ意味がありません。購入時・運用中のコストを十分に把握したうえで、キャッシュフローはどれくらいになりそうか、どれくらいの実質利回りになりそうかを十分イメージして取り組んでください。
参考:売却時にかかる仲介手数料などのコストはこちら